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フォード、新CEO就任で「何を作る」
2010年2月5日米国第2位の自動車メーカーであるフォード・モーターは、アラン・ムラーリー社長兼最高経営責任者(CEO)のもとで、経営再建を進めている。前任の会長兼CEOであり、事実上、そのほか多くのトップの役職をかねていた創業者一族のウィリアム・フォード氏は会長職に専念し、ムラーリー社長の取り組みをじっくりと見守っている。
業績悪化が呼んだある憶測
新CEOの就任で、フォードはようやく再建に向けた体制作りを完了したと言えるだろう。今年1月、フォード氏は「ウェイ・フォワード」と呼ばれる再建計画を打ち出した。これは2012年までに北米地区でホワイト・カラー従業員を10%削減、時間給職員も3万人減らし、14の工場を閉鎖するというものであった。しかし7月、第2四半期において2億5400万ドルの純損失を計上すると、そのような悠長な計画ではまったく間に合わないことが明らかになった。8月、同社は北米でSUVやピックアップ・トラックなどを中心に、21%の生産削減を行うと発表した。さらに同社が保有する8つのブランドのうち、高級車であるアストン・マーチンの売却を決定。ジャガー、ランド・ローバーについても売却の方向で検討している。しかし、これらのような、普通のリストラや生産削減では、もはや追いつかない程度に同社の業績、事業環境は悪化しているというのが周囲の見方である。もっと根本的な改革が必要とされていたことから、先月後半、いくつかの憶測が出てきた。まず、フォードがルノー・ニッサン・グループへの参加を検討しているという報道があった。ビル・フォード氏が、ゼネラル・モーターズ(GM)との提携がうまくいかなかった場合、代わりにフォードを仲間にしてほしいと持ちかけたという。しかし、GMとルノー・ニッサンの提携は順調に進んでいるらしい。
またもう一つ、フォード氏が同社の未公開化を検討しているとのうわさも流れた。フォード家は同社の発行済み株式数の約5%を保有しているが、一般の株式とは種類が異なり、議決権ベースでは40%を握っている。もう少し買い集めれば、不可能な話ではない。未公開化すれば、アナリストや株主に対して短期的な業績報告をすることなく、長期的な視野に立ったリストラや経営改革ができる。また公開企業に課される様々な規制も外れる。しかしそれに対しては、フォード家は現在でも実情を無視した経営をしている。未公開化などしたら、ますます現実から目を背け、最終的には会社の破たんにつながるだろうという批判があった。
結局、未公開化の検討はうわさに過ぎなかったようであるが、株式市場は、フォードが本格的な改革に取り組んでいるという手ごたえを感じている。同社の株価は2004年1月の17ドルからジリジリと下がり続け、今年7月には6ドル近辺にまで達した。ほとんど、いつ倒産してもおかしくないという株価である。しかし、ここ2ヵ月ほどは回復基調にあり、11日の終値は8.71ドルと、安値から4割以上の上昇となっている。もちろん、まだ絶対的に低水準ではあるが、市場の信頼を取り戻しつつあるとはいえるだろう。
受注激減のボーイングで手腕発揮のムラーリー氏
そして、「根本的な改革」の正体がムラーリー氏だったのである。これは市場に十分満足を与えるものであった。同氏に関してまず注目すべきなのは、自動車業界における経験がないということである。閉鎖的な自動車業界の中で、さらに閉鎖的と言われるフォードがこのような人選を行ったというだけで、同社の改革に向けた覚悟を感じることができる。もちろん、外の血ならば何でもいいというわけではない。ムラーリー氏はボーイングに37年勤務しており、同社の民間航空機ほとんどすべての開発に携わってきた。航空機業界と自動車業界には共通点が多い。まず製品の製造に時間がかかる。巨額の設備投資が必要である。製造過程が複雑。部品の調達も多岐にわたる。そして何より、この数年、需要が低迷している。
ボーイングも、ちょうど5年前の9月11日の同時多発テロ事件以降、航空業界の冷え込みを受け、航空機の受注が激減した。また次世代の飛行機についても、音速に近い高速機の開発を進めていたが、経費ばかりかかるそのような飛行機の需要は薄く、ボーイングはその計画を中止した。その代わりに、効率を重視した中型旅客機の開発に方向を転換し、そこで誕生したのがボーイング787型機、ドリームライナーなのであるが、ムラーリー氏はその陣頭指揮を執っていた。また、大胆なリストラ、製造過程の効率化、「売れる製品」の開発においても実績をあげている。
ムラーリー氏はボーイングのCEO候補であったが、2005年7月に現CEOのジェームズ・マックナーニー氏が就任したことで、その可能性はほとんどなくなった。それに伴ってムラーリー氏がボーイングを退社するのではないかと見ていた人もいたが、その時はまだドリームライナーの開発に没頭していたようだ。
フォードに求められるリーダーシップ
そして今回、晴れてフォードのCEOに就任したのであるが、期待されているのは単純なリストラではなく、フォードが「何を作るか」、「どう作るか」といった点にまで踏み込んだ改革だ。それには強力なリーダーシップが必要で、おそらく、かなりの裁量権を与えられているのであろう。様々なしがらみに縛られるようでは、この職を引き受けることはなかったはずである。同氏の今後の活躍が期待される。とは言うものの、株価としては、短期的にはいったん利食いのタイミングではないかと言われている。「うわさで買って事実で売る」という格言に従うのなら、「フォードが何かしている」という状況では魅力があったが、当面の答えが出た今、さらに買い上がるのはやや危険である。次に買うのは、ムラーリー氏が期待に応える数字を出すときとなろう。
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空を飛ぶ「夢」を再び~がんばれ、ホンダ!
2010年1月23日
1903年12月17日の午前10時35分。米ノースカロライナ州キティホークで、ライト兄弟がエンジン付き飛行機で人類初の飛行に成功した。高度3メートルで、飛行距離は約36メートル。「鳥のように空を飛びたい」という人類の夢を実現する大きな飛行だった。
それから百年余り。大統領も参加して行われたライト兄弟の記念行事では、兄弟の「フライヤー一号」の復元機を飛ばす実験が行われた。
同じ日には、ホンダが、米国でビジネス用小型ジェット機の初飛行を行った。ホンダの小型ジェット機は、高度一万メートルを、最高時速775キロで2000キロ飛行できるという。機体からエンジンまで自社開発。1962年に航空機事業への参入を宣言した創業者、故本田宗一郎氏の夢が42年目に実ろうとしている。
もう一回り大きな夢、4年後の初飛行目指して、日の丸ジェット旅客機の設計に取り組み始めたのは、三菱重工を中心とした航空機メーカーの約50人の技術者チームだ。
サイズは30人乗りないし50人乗りと小振りで、米国のジャンボ・ジェットや欧州のエアバスにとてもかなわない。だが複合材料を多用した軽くて空気抵抗の少ない主翼や胴体、最先端の電子・情報技術を駆使した操縦システムや電子制御システムなど、経済性でも安全性でも、世界のトップをいく新世代旅客機実現を目指す。
戦後初の日の丸プロペラ旅客機YS11が製造打ち切りとなったのは1973年だ。以来30年、後継機の開発は何度も計画されたが具体化しなかった。
人類初の飛行から百年目に官民合同プロジェクトとして着手にこぎつけた旅客機開発。その「夢」の実現に期待したい。
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